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理・伊賀文俊教授と京大などのグループ、絶縁体の量子振動の観測に成功「Science」に成果掲載

本学大学院理工学研究科量子線科学専攻(兼理学部)の伊賀文俊教授と、京都大学大学院理学研究科 博士課程の佐藤雄貴さん、同大学院の笠原裕一 准教授、松田祐司 教授、高輝度光科学研究センターの杉本邦久 主幹研究員、河口彰吾 研究員の研究グループは、米国ミシガン大学、英国オックスフォード大学、米国ロスアラモス国立研究所と共同で、本来電子を流さない絶縁体であるイッテルビウム12 ホウ化物(YbB12)において、強磁場中で量子力学的効果により電気抵抗と磁化率が磁場とともに振動する現象(量子振動)を初めて観測しました。量子振動は通常、電気を流す金属でしか観測されない現象であり、このことはYbB12においては金属とも絶縁体とも言えない前例のない電子状態が実現している可能性を示しています。

くわしくはプレスリリースをご覧ください。  
→【プレスリリース】絶縁体の量子振動の観測に成功―金属でも絶縁体でもない前例のない電子状態を発見―

YbB12の結晶構造、金属における磁場中のフェルミ面、量子振動の例

茨城大学理学部 伊賀文俊教授のコメント

今回は近藤絶縁体YbB12の結晶構造とその高純度な結晶品質を、大型放射光施設SPring-8で確認し、その後高感度磁化測定と精密電気抵抗測定を米国立強磁場研究所で行いました。茨城大学では、YbB12の純良単結晶の作製と微細な研磨加工を担当して、初めての取り組みとなる今回の測定に必要な試料を提供しました。現在、YbB12の純良単結晶の育成技術を確立しているのは世界的にも本研究室に限られており、これまでも独自にさまざまな測定により、近藤絶縁体の特異な性質を明らかにしてきました。  今回の共同研究成果は、その中でも、金属とも絶縁体ともいえない未知の電子状態が実現している可能性を示す画期的なものであり、今後の新しい理論提案や実験的研究の進展が期待される大きな発見といえます。

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(2018.08.30)