固体に代表される凝縮体では無数の原子(電子とイオン)が相互作用しており,個々の構成要素の総和としてではなく,系全体として,思いもよらない協奏的な現象が発現します.本拠点は,理学部,工学部,フロンティアセンターの3キャンパスの教員6名による密接な共同研究をもとに超伝導・磁性・金属絶縁体転移などの物理現象を研究対象とし,そこで重要となる,物質の局所構造(鍵となる原子と周辺の原子配列およびその運動)と機能発現との相関を解明することを目的としています.純良単結晶育成,高圧合成,ナノ構造物質合成などの技術を用い,重い電子系の超伝導やトポロジカル絶縁相,量子臨界現象,軽元素での磁性や超伝導など,重要な物理現象を発現する新物質群(ガコ状ホウ化物を含めた希土類化合物,ナノ空間物質など)の良質な試料を合成します.そして,これらの極低温下での物性測定と,局所構造を微視的に解明することの出来る量子ビーム(中性子,ミュオン,放射光X線)実験を行います.これにより局所構造と物性との相関に関する広く詳細な知見を得て,協奏的な物性発現の本質を理解します.